この名はチェルノボーグ。冷たき泥より産まれた死の具現。この禿山に括られし魔王である。
禿山に括られた夜と氷雪と死の化身にして、異世界キーテジより東京に顕現した「転光生」。
常にその周囲を自動で舞う氷晶の「神器」は、天幕となって暗黒の夜をもたらすと共に、大地を冷たく覆い尽くす絨毯となる。
更に氷晶はその結晶構造を自在に変え、チェルノボーグが持つ大鎌となり鎧となって身を包む。
それに触れた生物はチェルノボーグの意思に関わらずその身を凍り付かせ、命を散らしてしまう。
無敵とも思えるこの「神器」唯一の弱点は熱であり、暖かい所ではその構造を保てず、力を失う。
しかしチェルノボーグが禿山に括られている限りにおいて、極寒のその地に熱源など何一つなく、彼の神器は力を最大限に発揮する。
故に、かの禿山は故郷の異世界でも生者は誰ひとり足を踏み入れない難峰となり、故に彼は永い孤独の中で生きてきた。
【ILLUSTRATOR】吉良ネリス
【VOICE】成田剣