俺の…呪われた力を、お前は必要としてくれるのか。
「ゲート」を通じ異世界より召喚された異形の存在「転光生」。
彼らの出現により、東京という人間社会は急激な変容を強いられる事となった。
法の整備は必ずしも、現実の問題の解決を意味するものではなく、突然の変化に対する現地住民たちの不満と鬱屈は、今なお東京に渦巻いている。
人間たちの間を立ち回る力と知恵のある者たち、たまたま運がよかった者たちを除き少なからぬ数の「転光生」が公的な身分を得ることもなく、数えられぬ者たちとして、危険な者たちとして、存在するはずのない者たちとして蔑視される、駆除される、売り買いされる、使い捨てられる、そして、生きるために犯罪に手を染める者もいる…
召喚主を持たない彼らは「はぐれ転光生」と呼ばれている。
あらゆる敵意・恨み・憎しみを持つものを引き寄せる手枷・足枷の鎖に繋がれた「転光生」バーゲストも、その一人である。
多くの恨みを買うある者から雇われ、襲撃者からの盾として使われる事もあった。
反社会的な「はぐれ転光生」を集め、一網打尽とする為の囮として使われる事もあった。
鉱山のカナリアのように、最期の叫びを上げるその日まで、彼の身体には今日も新たな傷が刻まれていく。
【ILLUSTRATOR】めんスケ
【VOICE】篠宮穰祐